Story
ふくいサーモンができるまでふくいサーモンができるまで
01
卵のふ化
02
稚魚の成育
淡水かけ流しの清冽な水
生簀は一級河川・九頭竜川の支流・清滝川上流の水をかけ流しで使用しており、常に清冽な水で満たされています。水量や水温、水中の酸素量などのコントロールもきめ細かく行い、稚魚にとって良好な環境を維持しています。
徹底した衛生管理
稚魚は病気やストレスに弱いため、外部から病気の原因を持ち込まないよう厳しい作業マニュアルのもとで衛生管理を徹底しています。また、日々エサを食べる量や運動量を観察しながら、状態に合わせて臨機応変な対応をとっています。
淡水サーモンでは国内初のASC認証を取得
「宝慶寺サーモンベース」は自然環境に配慮して生産された水産物であることを示す国際認証「ASC認証」を取得。トレーサビリティが明確なエサを与える、サーモンのふんは川に流さず、回収して適切に処分するなど、厳しい基準をクリアした施設で安心・安全なトラウトサーモンを育てています。
03
沖出し
海面養殖場に移動
トラウトサーモンを徐々に海水に慣れさせてから、おおい町の養殖場に移し、海水で越冬させて養殖を行います。若狭の海は、周囲の山々から川を通して栄養が流れ込み、トラウトサーモンの養殖に適した低水温を保つことができる恵まれた環境があります。
デジタル技術を活用
冬場の海が荒れている日でも安定してエサやりができる自動給餌システムを開発し、自動でえさの量や時間を調節しています。また、養殖場で撮影した魚体の画像をAIで解析し、健康状態や成長の様子を分析するなど、最新のデジタル技術が取り入れられています。
陸上で淡水養殖
「ふくい名水サーモン」として養殖するトラウトサーモンは、引き続き「宝慶寺サーモンベース」で淡水養殖されます。
04
出荷
ふくいサーモン
冬の厳しい寒さを耐えて栄養をしっかりと蓄えたサーモンは、春になると約2~2.5kgにまで成長します。もっとも脂ののった美味しい時期を見極め、4~5月に出荷を行います。
ふくい名水サーモン
「ふくいサーモン」の旬を除く6月から翌年3月に「ふくい名水サーモン」を出荷することで、年間を通して福井県産の生サーモンを届けています。
ふくいサーモンの誕生
ふくいサーモンの養殖がスタート
ふくいサーモン養殖への挑戦は、2014年に始まりました。福井市の沖あいで行った養殖試験では、冬場の荒れた海ではエサやりが満足にできず、サーモンの生存率が低い、大きく育たないといった課題が浮き彫りになりました。
産学官プロジェクトを発足
そのため、養殖場を波の穏やかな若狭湾に変更。2016年には、福井中央魚市株式会社を代表に、福井県水産試験場、福井県水産課、日本海区水産研究所、福井県立大学による研究開発プロジェクトを発足しました。
プロジェクトの研究開発によって、ふ化から淡水での中間育成、海水に慣らす馴致(じゅんち)、海面養殖までの一貫体制が確立。適切かつ安定的にエサやりができる自動給餌機を開発したことで、冬場のエサやりの課題を解決し、生産者の負担も軽減しました。以前は出荷時の魚のサイズは約1.2kgと小ぶりでしたが、養殖の環境が整ったことで2kgを越えるまでに増加しました。
さらなる美味しさへの挑戦
淡水養殖場での病気を抑える取り組みにも成功し、生残率も順調に伸びていきました。その一方で、淡水養殖場から海面養殖場に移行する際のストレスでサーモンが弱ったり、病気にかかりやすくなったりする課題が残りました。
そこで福井中央魚市株式会社、福井県立大学、東京大学、福井県水産試験場などで新たなプロジェクトを立ち上げ、海水馴致時のストレス軽減や環境にやさしい飼料の開発、適切な給餌手法などの研究開発に挑み、さらなる品質の向上に力を注ぎました。
宝慶寺サーモンベース開設
ふくいサーモンの養殖規模の拡大を図るため、大野市宝慶寺地区に卵のふ化と中間養殖を行う「宝慶寺サーモンベース」を開設。2019年から実運用を目指して取り組んでいた淡水養殖にも本格的に着手。
ふくい名水サーモンの供給が本格化
淡水養殖場は冬の水温が非常に低く、サーモンは海面に比べてゆっくりと成長していきます。「宝慶寺サーモンベース」では、6月までじっくりと時間をかけて育てる方法を確立し、海面養殖と大きさも脂ののりも大差ないサーモンの陸上養殖を可能にしました。このサーモンは「ふくい名水サーモン」のブランドで出荷され、年間を通して福井県産のサーモンをお届けできるようになりました。